僕という人間

過労死寸前に追い込まれサラリーマンに絶望

入社して4年目、初めての転勤で
関東の事務所へ異動した。

そして僕はあるプロジェクトへの参加を命じられた。

そのプロジェクトは半年後までに
新たなシステムを開発・運用させること。

プロジェクトメンバーは4名。

僕に課された仕事はプログラム開発。

プログラムを組んだこともないド素人の僕に
会社が何を期待したのかわかるよしもないが、
与えられた仕事をやるしかなかった。

転勤してきたばかりで日常業務もままならならず、
それと並行してプロジェクトも遂行した。

不安とプレッシャーを感じながらも、
毎日のように残業をしてなんとかこなしていった。

そして半年後。

システムの運用を開始したが、
結果は最悪だった。

顧客からは、

「システムへ接続できない」

「動作が遅すぎて使い物にならない」

「異常終了して動かない」

などクレームが相次いだ。

僕らプロジェクトメンバーはクレーム対応をしつつ、
不具合の改修にあたった。

「システムを動かさないと顧客の業務が止まってしまう」

その責任の重大さから
僕らは24時時間体制で対応した。

3日間一睡もできないこともあった。

先の見えない仕事に、身も心もボロボロになった。

そして、僕の頭に「過労死」の言葉がよぎった。

先の見えない転勤族の運命

結婚して7年目で長男が生まれた

子宝に恵まれ幸せな気持ちになるとともに、
心のどこかで不安や気負いがあった。

それは僕が転勤族であるということ。

そして長男が幼稚園の年中の時に
僕は転勤を命ぜられた。

妻は仲良くしてくれていたママ友達と突然の別れ。

長男は幼稚園の友達と離ればなれになり、
楽しみにしていた運動会にも参加できなかった。

家族を巻き込むというのが本当に辛かった。

10月の転勤ということで
幼稚園の転入先を捜すのにも苦労した。

そして関東ということもあり物価が高く
金銭的にも厳しかった。

月の保育料は前の幼稚園の倍以上。
転入であっても入園料15万円はきっちりとられた。

来年からは次男も幼稚園に入園する。

妻は一から人間関係を作る必要があり、
子供の世話をしていく上での相談相手もいない。

転勤族という運命を受け入れることは、
簡単ではなかった。

過度のストレスによる体の異変

初めての転勤をしてからしばらくして、
頭髪の抜け毛が異常に増えた。

その原因は、

・転勤での環境変化によるストレス

・連日の長時間残業による過労と睡眠不足

・長時間のデスクワークによる目の疲れと血行不良

・運動不足によるストレスの蓄積と体力低下

などで間違いない。

僕の家系には薄毛はいない。

ちなみに父親は60歳を超えているが、
髪はフサフサで白髪もほとんどない。

そんな中で僕はAGA(男性型脱毛症)という
薄毛の病気にかかった。

ホルモンバランスがおかしくなって発症したわけだが、
生活習慣が引き金になったのは言うまでもない。

AGAは一度かかってしまったら
一生付き合っていかなければならない。

僕はいまでも毎日薬を服用している。

これを皮切りに、喘息、肺炎、インフルエンザ、
心臓の痛み、蕁麻疹など、体に色んな異変がおこるようになった。

サラリーマンを続けることで、
僕の体はボロボロになっていった。