僕を象徴するエピソード
初バイクは「1万円」の超ボロスクーター
入社してすぐに、博多キャナルシティーで折り畳み自転車を買った。
通勤用なので、別に折り畳みじゃなくてもよかったが、
当時流行っていたし、オシャレかな思い購入を決めた。
次の日から早速、自転車で通勤をした。
新車というのは気持ちいものだ。
会社の駐輪場へ着くと、
会社の先輩と遭遇した。
「自転車かったと?いくらしたん?」
先輩から聞かれたので、
「3万くらいです」
と僕は答えた。
「バカだな。3万あったら原付買えばよかったのに」
予想外の言葉だった。
あまりにもストレート過ぎる意見で
ショックだった。
原付が便利なのはわかる。
でも3万じゃ原付は買えないだろう。
親からも原付は危ないと言われてるし。
僕は一生、原付に乗ることはないと
思ってたので考えもしなかった。
その日の会社帰り、
「バイク屋行くから付き合えや」
と誘われた。
断る理由もなかったので、
先輩に言われるがままついて行った。
バイク屋に到着。
「おっちゃん(店員)、コレいくらだっけ?」
ボロボロの白いスクーターを指さして、
先輩はバイク屋の店員に聞いた。
「それは代車だから売り物じゃないよ」
「欲しいなら1万でいいよ」
先輩「ほら、安いだろ?お前、コレ買えよ」
いや、こんなボロボロのスクーターいらんし。
とは思いつつも、「1万円」という安さと、
先輩の押しの強さに負け購入した。
これが、僕とバイクの初めての出会いである。
キックスターターのみ、メットインなし。
黄ばんだ白い外装。年式、走行距離はもちろん不明。
ナンバープレートもヘルメットもないので、
そのスクーターを家まで押して帰った。
「早く乗りたいな」
こんなボロボロなスクーターでも、
昔から乗りたいと思っていた「バイク」に変わりはない。
ホームセンターで安いフルフェイスヘルメットを購入。
有給をとり、市役所へナンバープレートを取得。
そして任意保険に加入し、やっとスクーターに乗る準備ができた。
仕事終わりの夕暮れ、
家の駐輪場からスクーターを出す。
キックでエンジンを始動。
この時のドキドキ感は今でも覚えている。
家の裏の坂道を走ってみる。
時速20kmくらいでトロトロと。
スロットルを軽く回すだけで
力強く坂道を上っていく。
夜風が気持ちいい。
この日から、
僕はバイクの虜になった。
自転車しか知らなかった。
そんな僕にバイクの世界を教えてくれた先輩に、
心から感謝した。