僕という人間

親父から逃げるためにサラリーマンへ

僕の親父は自営業で大工をやっている。

頑固な性格と大きな声、怒ったら手がつけれない、
昔ながらの職人気質だ。

そんな親父が僕は昔っから大嫌いだ。

自分の考えてることが「絶対」であり、
僕がそれに反する行動を起こすと
怒り狂い、そして意地でも僕を納得
させる。

例えば、
小学校3年生の時、仲良くなった友達Sをウチへ
連れてきたことがあった。

その時ちょうど親父が仕事を休んでいて、
ウチで鉢合わせとなった。


友達が帰った後、親父からこう言われた。

親父「もうアイツとは付き合うな」

アイツとは友達Sのことだ。

僕「なんで?」

父親「ウチに上がって挨拶の一つもできないようなやつは
ろくでもない。縁を切れ」

当然、僕も反発した。

しかし、結局は親父が友達Sの父親へ電話で怒鳴り散らして、
友達をやめさせられた。

僕にはさっぱり意味がわからなかった。
僕の友達なのだから親父から口を出される筋合いはない。

この時、人間不信ならぬ親父不信になった。

それからは、早く実家を出たいという気持ちが強くなった。

親父がそばにいたら僕の人生は絶望だ、そう思っていた。


高校、大学と県外受験は親父から認められず、
また受験に失敗して留年するようなことがあったら
強制的に大工にする、とまで言われた。

僕は死ぬ気で勉強した。

その結果、県内の希望する大学へ入学できた。


そして大学3年に就職活動をはじめた。

眼中には県外の就職先しかない。

職種なんてなんでもいい。
僕は県外にでれたらそれで良かった。

その結果、全国に拠点をもつ従業員800人程度の技術系会社へ
就職することができた。

親父の呪縛から解き放たれると共に、
サラリーマンの世界へ踏み入れることになった。