盗んだバイクで


登校
「本当にごめんなさい」


僕には小学校からの幼なじみがいる。


一緒に通学したり、放課後に遊んだり
本当に仲が良い。


それは中学になっても一緒だった。


ただ、彼は少しずつだが不良への道を
歩んでいった。


週末はケンカ、万引き、放課後は賭け麻雀、
喫煙など、上げていけばきりがない。


そんな彼でも僕にとっては幼なじみ
であり親友なのである。


僕と遊ぶ時は、バスケットをしたり
テレビゲームで遊んだり、ゲーセンで
メダルゲームをしたりと、ごく普通の
中学生である。



彼は僕のいないところでは不良行為をしても、
それを僕に進めたり押し付けたりはしない。

不良
それはなぜなのか。


本当に仲の良い親友だったら、たとえ不良行為
でも誘ったりするんじゃないのか。


僕は彼に聞いてみた。


「ハマケンはそういうタイプじゃないから」


何か突き放されたような気がした。


友達として認められてないような
そんな気持ちになった。



彼に認められたい、そんな気持ちから
僕はもっと積極的に彼とつるむようになった。


不良行為の話を興味深く聞いてみたり、
具体的に話をしてみたりした。



そんなある日、


「原付盗みにいくか?」


突然、彼から誘われた。


なぜ彼がそんな事を言い出したかというと、
僕が原付に乗ってみたい、みたいな話をしてたのが
キッカケである。


「俺に任せとけって」


彼が言うには、原付バイクのある配線を処理するだけで
キーがなくても簡単にエンジンがかかるという。


ただ、一度かけたエンジンはガソリンがなくなる
まで止まらないらしい。


「盗むのはマズイって」

僕は制止した。


明らかに犯罪であり、もし捕まったら
どうなることか。


「いいから行くぞ」


その夜、僕はしぶしぶ彼についていった。




近所のコンビニの駐輪場が
ターゲットのようだ。


そこは人通りが少なくコンビニの裏側に駐輪場が
あるので、盗むには都合がよいとのこと。


彼はホコリがかかったボロボロの原付スクータ
に目をつけた。

古い原付
放置してるのか、それとも
全く乗っていないのか、そんな状態だ。



僕は表で見張り番をさせられた。


彼は原付スクータの前カバーをこじ開け、
何かを引き抜いた。


「エンジンがかかったぞ」

あっという間の出来事である。


「よし、乗れ!」



僕は慌てて彼が運転する原付の後ろ
に飛び乗った。




僕はドキドキが止まらなかった。


人の物を盗んでしまった。


彼は無免許運転、
そして2人ともヘルメットなし、
さらに1人乗り原付に2人乗り。


完全な犯罪である。




原付に乗って、山の上にある僕らの通う中学校までいった。


特に何か目的があるわけでもなく夜道を走り回った。

夜道

その間、僕は全く楽しくなかった。

というか罪悪感と後悔しかなかった。


もう辞めよう、帰りたい、
そんなことばかり考えていた。



しばらく走ってるとエンジンがとまった。

ガス欠である。



彼は、

「楽しかったか?」


と聞くと、僕は、

「全然」


すると彼は、

「俺も。もう辞めような」



この時にしたことは不良行為ではなく犯罪。

他人に多大な迷惑をかけている。



若気の至りなどと許されるものではない。



この事をきっかけに、
僕は全うな人生を送る決意をした。


他人に迷惑をかけない、嘘はつかない、
犯罪は犯さない。



誠実に生きていくことでしか
幸せを感じることはできないと信じて。

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