サラリーマンへの絶望

未来は真っ暗闇な転勤族

僕は転勤族である。

今の会社に転勤が多いことは知っていた。

入社時の面接で面接官から、

「うちの会社、転勤多いけど大丈夫?」

と言われてたからだ。


超氷河期と呼ばれる時代、そして親父から逃げる
ためにも就職浪人なんて絶対にできない。

そんな状況の中で、転勤の有無なんて気にもしなかった。


その結果、僕は晴れて入社することができた。

ちなみに、転勤が可能かどうかが採用時の大きな判断
基準となっていることは後に知った。



入社して最初の配属先は福岡だった。

太宰府天満宮から近く、のどかな地域で僕は気に入ってた。

僕が新入社員ということもあって、会社の先輩もそれなりに
可愛がってくれた。

しかし入社して1年後、20人中で4人の先輩が転勤となった。
その中には仲の良かった先輩もいる。

せっかく作り上げた人間関係が引き裂かれたのだ。


転勤があることはわかっていたが、実際に目の当たりにすると
ショックは大きい。


人見知りでコミュニケーションが苦手な僕にとって、
また1から人間関係を構築しなければならない、
というのは苦痛でしかない。


これが毎年のように繰り返されると思うとゾッとした。


僕はこの人の入れ替わりにどうしても慣れることが
できなかった。



そして入社から4年後、僕は千葉への転勤を言い渡された。


広島より東に住んだことのない僕にとっては未開の地、
そして、30人を超える組織へ放りこまれた。


さらに、今までは機械の修理や空調の点検をしていた僕が、
最先端のサーバ機器の運用管理、またはプログラム開発という
、これまでとは全く違う仕事につくことになった。


この環境の変化は僕には耐え難いものだった。


極度のストレスからか、体に少しずつ異変がでた。

頭髪の抜け毛が増え、喘息を発症し、原因不明の
蕁麻疹等に悩まされた。


「僕には転勤の多い会社は向かない」

今更だがそう思った。


その後、10ヶ月後に神奈川へ転勤、
2年後には大阪へ転勤し、今に至っている。



今は妻も子供もいる。

これからは僕のことだけでなく家族のことも
考えていかないといけない。

将来、どこへ行くことになるのか。
子供に転校をさせ続けないといけないのか。

将来が全く見通せないのである。


転勤は、人間関係の自由、仕事の自由、
住む場所の自由を奪う。


今の会社へ勤めている限り、転勤は
切っても切れないこと。
それでも自分の生き方は自分で決めたい。

この矛盾にどうやって立ち向かっていくか。
いつも考えている。