僕を象徴するエピソード

好きな子に告白、そしてベンツの当たり屋に遭遇

大学の時に学生服を梱包する短期のバイトをしていた。

3月頃になると中学校や高校に入学する生徒の
制服の注文が一斉に入る。


僕達バイトは注文書に記載されたサイズを元に
倉庫から取り出してきて箱に詰めるという
作業を延々とするのだ。


単純作業だが楽しかった。

一人で黙々と作業をするというのが
僕には向いていたのである。


そして、他のバイトは同じ年代の女の子ばかり。

休憩時間や仕事の合間に会話するのが楽しい。


倉庫内はラジオがかかってて、リラックスしながら
作業をすることができる。


職場のリーダもとても人柄の良い人で、
バイトはみな伸び伸びと仕事をしていた。



僕は大学4年間、毎年3月と4月はここでバイトを続けてきたわけだが、
大学4年の時に、とても可愛いバイトが入ってきた。


清楚で大人しい感じの黒髪美人である。


こんな人と一緒に仕事ができるなんて
なんて幸せなんだ。



結局、僕は声をかける勇気がないのでバイト期間中、
ほとんど彼女とは話すことはできなかった。



バイトの最後の日に、市内の居酒屋で打ち上げを
することになった。


「絶対彼女の隣の席をゲットしてやる」


それは失敗に終わった。

僕の周りにはなぜか男ばかり寄ってくる。
いつものことだ。


でもせっかくなので楽しもうと、
ビールを飲みまくった。



アルコールには強いので、日本酒やワインなど
ガンガンちゃんぽんして酔に酔おうと思った。


その結果、完全に出来上がってしまった。


そこからの記憶はあいまいなのだが、
バイト仲間からの証言をもとに書いていこう。


僕は酔った勢いにまかせて、気になっていた彼女に

「ずっと好きでした」

と告白したらしい。


彼女は微笑んで、僕にお酒をついでくれた。

告白に対してイエスともノートも返事はなかったようだが、
酔いつぶれた僕の話をずっと聞いてくれていたようである。

最高に楽しい会だった。



そして二次会にカラオケに行くというので、
店を出て、繁華街の道路を移動していった。


僕はバイト仲間の肩をかりながら
フラフラ歩いていた。


「お前、なにさらしとるんじゃ!」


黒服の大きな男が叫んだ。


どうも僕達の方に向けて叫んでいる。


「お前が車に当たって凹んでしもうたじゃないか!」


その車はベンツ。


ボディの側面に大きな凹みキズがあった。

どうも僕が車に当たって凹ましたと
言っている。

「修理代10万円払ってもらおうか」


僕はなにがなんだかわからなかった。

フラフラ歩いてはいたけど、
車に当たった記憶はないし。


僕を含めバイトのみんなでビビっていた。



すると、僕達の後ろから打ち上げに一緒にきてた
バイト先の社員さんがきた。


「どうしたんじゃ?」


僕達は社員さんに説明した。


すると社員さんは、黒服の男に向かって

「こんなもん人が当たったぐらいで凹むかいボケ!」と一喝。


強面の社員さんで体格もよくヤクザみたいな
人だったので、黒服もビビって、

「気をつけろよ」

といって去っていった。


助かった。


その後、僕は社員さんには相当怒られた。
それに好きな子の前で、恥ずかしいところを見せてしまった。


二次会のカラオケはテンションガタ落ち。

一曲歌おうとすると、歌ってる途中に吐き気がして
トイレに駆け込んだ。

二次会中、ずっとトイレにこもって終了。


学生最後のバイトの締めは、良いこともあれば、
散々なこともあった。


でもこの出来事をキッカケに
無理なお酒の飲み方はしなくなった。

そして、好きな人ができたら、それは正直に伝える
ようになった。伝えずに後悔するより、伝えて後悔した方が
スッキリするし前に進める。


人は色んな経験をすることで少しづつ成長していくんだなと
身を持って体験したできごとである。